【歯医者は治療をわざと長引かせる?】現役歯科医師が歯医者の治療が長引く理由を解説します

「むし歯の治療がなかなか終わらない。いつまで続くのだろうか。ひょっとしてわざと治療を長引かせているのか…?」
なかなか終わらない歯医者の治療に対し、このように疑問を抱く人は多いです。

しかし、歯医者は治療をわざと長引かせているわけではありません。歯医者の治療が長引く。これには理由があるのです。
そこで今回は、歯医者の治療が長引く理由について解説します。

本記事は以下の人におすすめです。

  • 歯医者の治療がいつまで経っても終わらず、疑問に思っている
  • 歯医者が実は治療をわざと長引かせているのでは?と思っている
  • なぜ歯医者の治療が長引くのか知りたい

今回は歯医者の治療が長引く理由について解説します。

歯医者の治療が長引くことに疑問をいただいている方、歯医者の治療が長引く理由を知りたい方は、ぜひ本記事を読んでください。
本記事を読むことで、きっとあなたが抱いている疑問は解消されるでしょう。

歯医者の治療が長引く理由は?

歯医者は決して患者さんの治療をわざと長引かせているわけではありません。
歯医者の治療が長引くのは、理由があるのです。

【歯医者の治療が長引く理由①】1度に対応できる処置が限られるため

たとえばむし歯治療の場合、症状の進行具合に応じた治療期間を設定する必要があります。
軽度のむし歯であれば、歯の表面を削ってプラスチック素材を詰めることで治療が1回で終わるケースもあるでしょう。

一方で重度のむし歯の場合、詰め物や被せ物が必要になるケースがあります。
この場合、詰め物の歯型を取り、歯にセット。その後、調整して被せ物の歯型取りを行う必要があります。その後、被せ物をセットし、調整という流れです。

このように症状によっては、段階を踏んで治療に臨む必要があります。そのため、複数回の来院が必要になるのです。
治療後、経過観察を行うために、複数回に分けて患者さんに来院してもらうこともあります。1回の来院ごとに歯茎や神経組織などを総合的に確認する必要があるのです。

このような理由から複数回の来院が必要になるでしょう。

【歯医者の治療が長引く理由②】診療レセプト(診療報酬)上で制限があるため

保険診療の場合、厚生労働省によってレセプト(診療報酬)単価が決められています。
レセプト単価は、1ヶ月の保険診療点数÷同月の延べ患者数で割り出されます。

レセプト単価が決まっている理由は、1人あたりの患者さんへの過剰な保険診療を防止するためです。その背景には「医療費の抑制」を目的とする厚生労働省の政策も関係しているのです。高単価なレセプト請求が続いた場合、厚生労働省から指導や処分を受けます。

そのため、歯医者ではレセプト単価を下げざるを得ません。
結果として1人あたりの患者さんへの対応時間を制限する必要が出てくるのです。

【歯医者の治療が長引く理由③】患者さんの負担を減らすため

歯医者で1度に多くの処理を行うと、治療時間が長くなります。治療時間が長くなると、患者さんが口を開ける時間がその分長くなるでしょう。

長時間口を開ける動作は顎に負担がかかり、患者さんによっては大きな負担になります。
また1度に多くの歯を削ったり、抜歯したりすると、本来の噛み合わせがわからなくなり治療後の食事がしづらくなる可能性もあるのです。

治療中、そして治療後の患者さんが感じる負担を軽くするため、歯医者では治療時間を制限しています。

【歯医者の治療が長引く理由④】詰め物や被せ物の発注は時間がかかるため

詰め物や被せ物は、発注してから歯医者に納品されるまでに一定時間が必要です。

そのため、患者さんは少なくとも詰め物や被せ物の発注時に1回、納品後に1回は来院しなければなりません。

【歯医者の治療が長引く理由⑤】1人あたり長時間の診療時間を確保すると予約がとりづらくなるため

もし1人あたりの診療時間を長くした場合、どうなるでしょうか。
診療時間を長くすると、予約が取りづらくなります。

たとえば1人あたりの予約時間を1時間に設定したとしましょう。
この場合、1日に来院できる患者さんは限定されます。

さらに患者さんが予約キャンセルになった場合、1時間の枠が空き、貴重な1時間の診療時間が無駄になるリスクが発生するのです。

歯医者の治療を長引かせないコツは?

歯医者の治療を長引かせずに、いち早く治療を終わらせたいと願う方に向けて、歯医者の治療を長引かせないためのコツを解説します。

ぜひ取り入れて実践してみてください。

むし歯や歯周病などの疾患予防を徹底する

むし歯や歯周病などの治療は、歯石取りなどと比べて通院回数が増えます。
むし歯や歯周病などの治療で複数回の通院をしている方は、予防を徹底しましょう。

食後の歯磨きはもちろん、フロスなどを活用し、セルフケアを徹底しましょう。

また定期的に歯石取りを行うことも予防策として効果的です。
定期検診に通い、定期的に口内環境を確認することも必要でしょう。

むし歯や歯周病などの疾患は、症状が進行すればするほど、治療回数が長引く可能性があります。
早期発見、早期治療のためにも、定期検診に通うことは有意義と言えるでしょう。

治療期間を短縮するための医療機器を導入している歯医者を選ぶ

次の医療機器を導入している歯医者では、治療期間が短縮される可能性があります。
来院前にホームページなどを参照し、確認しておきましょう。

歯科用CT

CTを活用して口内全体を立体的に撮影することで、歯根や神経、血管の位置などを把握できます。
そのため、口内疾患が見つけやすくなり、治療計画が立てやすくなるのです。

いち早く治療計画が立てられれば、治療期間の短縮が期待できるでしょう。

レーザー機器

レーザー機器は、殺菌や消毒の他に、止血や鎮痛などの作用を持ちます。
抜歯や歯肉の切開時に活用することで、施術時間短縮が可能です。

また、レーザー機器を活用して口内の清掃・消毒を行うことで効率的に作業が進みます。
止血時にも活用することで、血流の早期改善が見込めるため、治療期間の短縮が図れるでしょう。

マイクロスコープ

マイクロスコープを活用することで、患部を6倍〜32倍程度に拡大可能になります。

そのため肉眼では確認できない箇所がより明確に確認でき、症状の早期発見につながるでしょう。
治療時間は延びますが、治療期間が短縮できる可能性があります。

口腔内スキャナー及びCAD/CAMシステム

CAD/CAMシステムを活用することで、歯の詰め物や被せ物の設計・製作が簡単に行えます。

また口腔内スキャナーを活用することで、従来発生していた歯型をとる手間と時間が短縮されるでしょう。
詰め物や被せ物を発注する手間が短縮され、最短1日で作成が可能になるため、治療期間短縮につながる可能性があります。

まとめ

今回は、歯医者の治療が長引く理由について解説しました。
歯医者の治療は、決してわざと長引かせているわけではありません。

歯医者の治療が長引くのは、理由があるのです。
歯医者の治療が長引くのは、レセプト上の制限があるから。これだけではありません。

これには「患者さんへの配慮」が関係しているのです。
患者さんへの治療を複数回に分けることで、1回あたりの施術時間が短縮され、多くの患者さんが予約を取りやすくなります。
また治療を複数回に分けることで、1回にかかる患者さんの身体的な負担を分散できるようになるのです。

いち早く治療を終わらせたい方は、日々の口内疾患予防に努めましょう。
セルフケアを徹底することで、むし歯や歯周病などの疾患予防につながります。

また歯科用CTやレーザー機器、マイクロスコープなどが導入されている歯医者を選ぶといいでしょう。
これらが導入されている歯医者では、比較的短期間で治療が終わる可能性があるのです。

記事執筆者_廣瀬哲人

株式会社ENロジカル
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
株式会社ENロジカルについて
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記事監修者_岡本孝博

高知県の僻地出身
高校卒業後、アパレル業界へ。デザイナーを経験後、歯科医師になる。
2008年より、京都大学医学部附属病院に勤務。基幹病院病棟医長/外来医長、地域基幹病院歯科口腔外科の所属長、地域医療連携における部門部長、難治性外来非常勤医師を務める。また、研修指導医取得はじめ数々の認定医資格を取得
2018年にスクリエを創業

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共同記事監修者_西岡愛梨

管理栄養士として大手医療法人の病院や介護老人保健施設に勤務しながら、大阪市立大学大学院へ進学。当時の研究テーマで日本病態栄養学会の若手研究特別賞を受賞した過去をもつ。現在は後期博士課程に在籍しながら、京都大学や地域中核病院での研究調査に携わっている。

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岡本孝博 (Okamoto Takahiro)

高校卒業後、アパレル業界へ。デザイナーを経験後、歯科医師になる。
2008年より、京都大学医学部附属病院に勤務。基幹病院病棟医長/外来医長、地域基幹病院歯科口腔外科の所属長、地域医療連携における部門部長、難治性外来非常勤医師を務める。また、研修指導医取得はじめ数々の認定医資格を取得
2018年にスクリエを創業