【親知らずは抜くべき?】現役歯科医師が治療方法や費用について解説します

「歯医者で親知らずを抜くべきか否か…」
このように迷っている人は多いです。

また、できることなら親知らずを抜きたくないと思っている人も多いでしょう。
そこで今回は、歯医者で親知らずを抜くメリット・デメリットや治療方法、費用などについて解説します。

本記事は以下の人におすすめです。

  • 親知らずは抜くべきなのか知りたい
  • できるなら親知らずを抜きたくない
  • 親知らずを放置するとどんなリスクがあるか知りたい

歯医者で親知らずの抜歯を検討している人や、親知らずの抜歯をするか迷っている人などはぜひ参考にしてみてください。

歯医者で親知らずを抜いた方がいい?

親知らずには「抜いた方がいい人」と「抜かなくてもいい人」が存在します。

それぞれの特徴をまとめました。
歯医者で親知らずの抜歯をするか迷っている人は参考にしてみてください。

歯医者で親知らずを抜いた方がいい人の特徴

歯医者で親知らずを抜いた方がいい人の特徴は次の通りです。

歯並びに影響が出ている

顎のスペースが足りない場合、親知らずは斜めや横向きに生えます。
この時、隣の歯を押すことによって歯並びが悪くなる場合があるでしょう。

歯並びに影響が出そうな人は、親知らずを抜いた方がいいでしょう。

噛み合わせに影響が出ている

親知らずが原因で奥歯全体が噛み合わない場合や、残っている親知らずとの接触によって噛み合わせが悪くなっている場合は抜歯しましょう。

噛み合わせが悪いと、身体全体のバランスが悪くなります。
場合によっては、神経や内蔵にまで影響が出てしまい、さまざまな合併症が起こり得るのです。

腫れや痛みがある

親知らずは最も奥に位置した歯です。
そのため歯磨きがしづらく、歯ブラシが届かないこともあり、むし歯や歯周病になりやすい歯と言えます。

むし歯や歯周病になり、腫れや痛みを感じる場合は親知らずを抜歯しましょう。

歯医者で親知らずを抜かなくてもいい人の特徴

歯医者で親知らずを抜かなくてもいい人は、親知らずがまっすぐ綺麗に生えている人です。

まっすぐ綺麗に生えている場合、歯磨きが比較的しやすくなるため、むし歯や歯周病のリスクが減ります。
また、腫れや痛みのリスクも減るため、抜歯の必要はないと言えるでしょう。

歯医者で親知らずを抜く場合の費用は?

親知らずの治療は、保険適用であり、抜歯方法によって費用が変わります。

通常初診料で3,000円程度+歯石除去で1,000円程度+抜歯費用がかかるでしょう。
抜歯費用全体としては、難しさに応じて7,000~10,000円程度かかります。

大学病院で抜歯する場合

大学病院で抜歯する場合、紹介状の有無で金額が変わります。

3割負担の人の場合、3,000円〜6,000円程度で抜歯ができるでしょう。

歯医者で親知らずを抜くメリット・デメリット

歯医者で親知らずを抜く際にはメリット・デメリットがあります。
親知らずの抜歯を検討している人は、両方を踏まえた上で判断するといいでしょう。

歯医者で親知らずを抜くメリット

歯医者で親知らずを抜くメリットは次の通りです。

むし歯や歯周病などの疾患が予防できる

親知らずを抜くことで、磨きにくかった部分が磨きやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが減らせます。
また、智歯周囲炎(親知らずの周囲が腫れて炎症が起こる症状)などが防げるのもメリットと言えるでしょう。

口臭が予防できる

親知らずを抜くことで、親知らず周辺の歯茎に炎症が起き、口臭につながるリスクを減らせます。
特に歯磨きがしやすくなることで口臭予防の効果が期待できるでしょう。

歯医者で親知らずを抜くデメリット

歯医者で親知らずを抜くデメリットは次の通りです。

親知らずが有効活用できなくなる

親知らずを歯の欠損部分に移植することで役立つケースがあります。
歯の移植術ができれば、インプラント治療などの費用が抑えられるのです。

また、親知らず自体をブリッジや入れ歯の支えにできる場合もあります。
親知らずがないと、このような有効活用ができなくなるのです。

親知らずの抜歯でさまざまなリスクが生じる

親知らずの術後は出血、痛み、腫れのリスクがあります。
口腔内は細菌が多く存在し、抜歯後に感染が起こり得るため、予防処置として抗菌薬の内服が必要です。

また、親知らずの生え方によっては、オトガイ部(下唇周囲)の感覚障害が生じるリスクがあります。
術前のレントゲンやCTでリスク評価が出来ますので、抜歯前にご相談ください。

歯医者で親知らずを抜くべきタイミング

親知らずには抜くべきタイミングがあります。
タイミングを逃すと、親知らずが抜きづらくなることがあるのです。

親知らずが成長する前

親知らずが成長する前は、根っこが完成されていません。
そのため、比較的抜きやすく、痛みも少ない場合が多いのです。

親知らずが生え始めた段階で抜歯してもいいでしょう。
生え始めの段階であれば、回復力が早いため、抜歯後の治りが早くなります。

顎が成長する前

顎が成長すると、顎が厚くなり、硬くなります。その分、親知らずが抜きづらくなるのです。

顎は20代以降も成長すると言われていますので、20歳〜30歳までには抜歯するといいでしょう。

歯医者で親知らずを抜く際は局所麻酔をしよう

親知らずを抜く際は、4本同時に抜歯する場合を除いて、局所麻酔で抜歯を行います。
局所麻酔が十分に効いた場合、痛みは生じません(局所麻酔の刺入時の痛みはあります。)

処置時に痛みを感じるようであれば、遠慮せずに歯科医師に伝え、痛みの無い処置を行ってもらってください。

親知らずを抜く際の痛みを和らげる方法

歯医者で親知らずを抜くことに抵抗を感じる人がいます。
その多くは「抜歯が痛そう」というイメージを持っている人です。

そんな人のために、現代の歯医者では、局所麻酔の他に痛みを減らす方法がとられています。

表面麻酔

注射がどうしても苦手な人は表面麻酔がおすすめです。
表面に塗ることで注射時の痛みを感じにくくなります。

極細注射針を使用する

注射は、針が太いほど痛みが増します。
そのため、細い針を使用することで痛みが感じにくくなるのです。

自動注射器を使用する

麻酔を注入する際、一気に注入すると痛みが生じやすくなります。

一方で、自動注射器で一定の速度のもと、ゆっくり麻酔を注入することで痛みが減らせるのです。

まとめ

今回は、歯医者で親知らずを抜くメリット・デメリットや治療方法、費用などについて解説しました。

親知らずは必ずしも抜かなければならないものではありません。

とはいえ、歯並びや噛み合わせに影響が出ている人などは、親知らずを抜く必要があるでしょう。
一方で、歯並びが綺麗で親知らずがまっすぐ生えている人は、無理に抜く必要はありません。

親知らずには抜くべきタイミングがあります。
適切なタイミングで抜くことで、スムーズに抜歯がしやすくなるので、定期的に歯医者さんにチェックしてもらうことをオススメします。

また親知らずには、抜歯するメリットとデメリットがあります。
歯医者で親知らずを抜くか迷っている人はメリット・デメリット両方を踏まえ、検討してみるといいでしょう。

記事執筆者
廣瀬哲人

株式会社ENロジカル代表
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
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記事監修者
歯科医師/岡本孝博

高知県の僻地出身
高校卒業後、アパレル業界へ。デザイナーを経験後、歯科医師になる。
2008年より、京都大学医学部附属病院に勤務。基幹病院病棟医長/外来医長、地域基幹病院歯科口腔外科の所属長、地域医療連携における部門部長、難治性外来非常勤医師を務める。また、研修指導医取得はじめ数々の認定医資格を取得
2018年に㈱スクリエを創業

共同記事監修者
管理栄養士/西岡愛梨

管理栄養士として大手医療法人の病院や介護老人保健施設に勤務しながら、大阪市立大学大学院へ進学。当時の研究テーマで日本病態栄養学会の若手研究特別賞を受賞した過去をもつ。現在は後期博士課程に在籍しながら、京都大学や地域中核病院での研究調査に携わっている。

西岡愛梨