【歯医者ってどのくらい治療費が掛かる?】現役歯科医師が歯医者の治療費を解説します

「最近、歯が痛い。歯医者に行くと、いくらかかるんだろう…。」
このように悩んだ経験はないでしょうか?

本記事は以下の人におすすめです。

  • 虫歯で悩んでいるため、歯医者に行きたいが、治療費がどのぐらいか知りたい
  • もしかしたら虫歯以外の可能性があるため、虫歯以外の治療費がどのぐらいかも知りたい
  • 通院し続ける場合の治療費が知りたい

今回は歯医者の治療費について解説します。
虫歯などに悩んでおり、これから治療を検討している方は参考にしてみてください。

歯医者の治療費には2つの種類がある

歯医者の治療費には、以下の2種類があります。

  • 保険診療
  • 自由診療

歯医者の治療費は、保険診療か自由診療かで異なります。
それぞれについて詳しく解説していきますので、参考にしてみてください。

【治療費①】保険診療

保険診療とは、厚労省が認めた薬や素材、治療方法に基づいて行う診療のことです。
保険診療が受けられる対象者は、健康保険や国民健康保険など日本の公的医療保険に加入している方のみとなります。

保険診療のメリットは、治療費の自己負担が1~3割(義務教育就学前までは2割)になる点です。
消費税も掛からないため、負担を抑えて診療が受けられます。

一方で、デメリットもあります。それは、厚労省が認めた治療しか受けられない点です。
例えば、インプラントなどの特殊な治療は保険診療対象外となります。

なるべく治療費を抑えたい方で、かつ必要最小限の治療で問題ない方に適した診療と言えるでしょう。

【治療費②】自由診療

自由診療とは、保険適用外の薬や素材、治療方法に基づいて行う診療のことです。

自由診療のメリットは、その人の歯の状態や希望に合わせて診療できる点です。
例えば、審美性を追求したい場合、審美効果のある素材を使用して治療できるため効果が長続きしやすいでしょう。

一方でデメリットは、負担する治療費が増える点です。
診療に掛かる治療費が10割負担になり、加えて消費税も掛かります。

治療費を気にせず、自分の希望する治療を受けたい方に適した診療と言えるでしょう。

【歯医者の治療費】検査料について

歯医者で治療費が発生する場合の主な内容を解説します。

保険診療の場合は治療によって定められていますが、自由診療の場合は歯医者が自由に値段を付けられます。
気になる方はホームページで確認したり、直接問い合わせしたりしましょう。

検査料

保険診療の場合は、レントゲン検査や歯周病検査などで500円〜1,500円前後が掛かります(歯の本数や検査項目で変動あり)。

自由診療の場合は、歯医者によって異なります。

【歯医者の治療費】疾患・施術ごとの治療費について

疾患・施術ごとで発生する治療費を解説します。

治療費は、疾患の進行具合や施術ごとで異なります。
気になる項目があれば、参考にしてみてください。

虫歯・欠損の治療費

虫歯・欠損の治療費は、進行具合や程度によって異なります。

それぞれ詳しく解説していきます。

虫歯(軽度)の治療費

軽度の場合は、歯の表面にあるエナメル層が溶けている状態です。

これに対し、レジン(樹脂)やフッ化物(再石灰化を促す)を詰めることで治療が行えます。
保険診療となり、治療費(レジンの場合)は1,200円〜3,000円前後(歯1本あたり)です。

また、治療自体は1本に付き、およそ1日で終わります(診察・検査の結果、後日治療するケースもあります)。
虫歯の対象が1本であれば、基本的に通院し続ける必要がないため、比較的楽に治療が受けられるでしょう。

虫歯(中度)の治療費

中度の場合は、エナメル層直下にある象牙質層まで虫歯が達している状態です。
この場合、通常のレジンでは対応できません。

そこで治療の選択肢としては2つ。

1つは金属で修復する方法です。
この場合、保険診療となるため、治療費は2,000円〜4,000円程度(歯1本あたり)になります。

もう1つは、審美性が高い素材を詰めるやり方です。
通常のレジンとは異なるハイブリッドレジンやセラミックを使用する場合、治療費は30,000〜100,000円程度(歯1本あたり)になります。

特徴は、本物の歯と遜色なく、透明感のある歯に仕上がる点です。
また、耐久性にも優れています。

さらに高品質な素材として挙げられるのが、金です。
しなり(柔軟性)があるため違和感なく噛めます。また金属アレルギーの方に適した素材と言えるでしょう。価格は時価です。

これらの高品質な素材を使用する場合は、自由診療になります。

中度の虫歯治療を行う際は、審美性や耐久性を重視するか、金額を重視するか考えて治療しましょう。
治療自体は歯1本につき、数回の通院が必要です。軽度の場合よりも治療に時間を要します。

虫歯(重度)の治療費

重度の場合は、象牙質層直下の歯髄まで虫歯が達している状態です。
この場合、神経を除去した上で被せものをする必要があります。

さらに、神経を除去した後、歯の根元を清掃する治療が必要です。

素材としては、金属やハードレジンなどを使用すれば保険診療になります。
治療費は、4,000円〜10,000円程度(歯1本あたり)です。

一方、ジルコニアやオールセラミックなどの高品質な素材を使用する場合は、自由診療になります。
治療費は100,000円以上(歯1本あたり)です。

治療自体は1本に付き、数回の通院が必要です。
治療する場合は、長期的なスパンで取り組む必要があります。
計画的に通院する必要があるでしょう。

抜歯

抜歯は、基本的に保険診療になります。
乳歯や前歯、臼歯によって金額は変動しますが、治療費は400円〜1,500円前後(歯1本あたり)です。

しかし、親知らずが横に生えていたりする場合は、特殊な施術が必要になります。

定期検診

定期検診は、基本的に保険診療になります。

治療費は、3,000円〜5,000円前後です。
審美歯科などを目的とした自由診療の場合は、治療費として6,000円〜12,000円が掛かります。

入れ歯

入歯の保険診療の場合、装着具が金属製になるため、見た目が目立ちます。
また、装着感も気になる場合が多いです。

治療費は、部分入れ歯であれば3,000円〜20,000円程度です。
総入れ歯の場合は、10,000円〜20,000円以上になります。

自由診療よりは安くなりますが、場合によっては審美性が劣ると言えるでしょう。

一方で、入れ歯の自由診療の場合、チタンやコバルトクロムなどの素材を使った装着具を用いれば薄く作製できます。
また、材料によっては見た目も目立たないため、人目を気にせず使用できるでしょう。

治療費は、部分入れ歯であれば50,000円〜300,000円程度です。
総入れ歯の場合は、300,000円〜800,000円程度になります。

インプラント

インプラントの場合は、自由診療になります。
メリットは、本物の歯とほぼ同等の感覚が味わえる点です。

一方で、デメリットもあります。
それは、特殊な施術を要するため、治療が長時間になる点です。

治療費は、200,000円〜400,000円程度(歯1本あたり)になります。

マウスピース治療

マウスピース治療では、歯ぎしりなどの治療を目的とする場合、保険診療になります。
治療費は5,000円程度です。

一方、治療以外のスポーツなどで使用する場合は、自由診療になります。
治療費は、10,000〜30,000円程度です。

まとめ

今回は、歯医者の治療費について解説しました。

歯医者では、主に診察料と検査料、治療費の3つが発生します。

また、治療が保険診療扱いか自由診療扱いかで治療費が異なります。
さらに、疾患の進行度や治療具の素材によって金額が変動する場合もあるでしょう。

治療内容によっては数回に渡り、通院する必要もあります。
治療を受ける際は、治療方法や治療回数などを把握した上で、あなたに最適な治療プランを選択してください。

記事執筆者
廣瀬哲人

株式会社ENロジカル代表
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
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記事監修者
歯科医師/岡本孝博

高知県の僻地出身
高校卒業後、アパレル業界へ。デザイナーを経験後、歯科医師になる。
2008年より、京都大学医学部附属病院に勤務。基幹病院病棟医長/外来医長、地域基幹病院歯科口腔外科の所属長、地域医療連携における部門部長、難治性外来非常勤医師を務める。また、研修指導医取得はじめ数々の認定医資格を取得
2018年に㈱スクリエを創業

共同記事監修者
管理栄養士/西岡愛梨

管理栄養士として大手医療法人の病院や介護老人保健施設に勤務しながら、大阪市立大学大学院へ進学。当時の研究テーマで日本病態栄養学会の若手研究特別賞を受賞した過去をもつ。現在は後期博士課程に在籍しながら、京都大学や地域中核病院での研究調査に携わっている。

西岡愛梨