「レントゲン」と聞いて安全性に疑問を持つ方は多いです。
特に放射線の被ばくが怖いと思っている方も多いでしょう。
そこで今回は、歯医者のレントゲンが怖い方に向けて、レントゲンの安全性や必要性、注意すべき点を解説します。
本記事は以下の人におすすめです。
- 歯医者のレントゲンが怖くて歯医者に行けない
- 歯医者のレントゲンの必要性、安全性が知りたい
- 歯医者のレントゲンについて注意すべき点が知りたい
歯医者のレントゲンが怖い方は、ぜひ参考にしてみてください。
【歯医者のレントゲンが怖い方へ】レントゲンは安全です
歯医者のレントゲンが怖い方は多いです。
その理由の1つに、「放射線の被ばくが怖い」という理由が方が挙げられます。
しかし、ご安心ください。歯医者のレントゲンは安全です。
なぜなら、歯医者のレントゲンにおける放射線量は極めて微量だからです。
社団法人東京都歯科医師会のデータによると、歯医者のレントゲンにおける放射線量は約0.01〜0.03ミリシーベルト程度と言われています。
一方で人体に影響を及ぼす放射線量としては、放射線医学総合研究所のデータによると年間約100ミリシーベルトを超えない限り、問題ありません。
また、人間が自然界で浴びる放射線量は約1.5〜2.4ミリシーベルト程度になります。
これらのことから、歯医者のレントゲンにおける放射線量は、人体にすぐさま影響を及ぼすレベルではないと言えるでしょう。
【歯医者のレントゲンが怖い方へ】レントゲンが必要な理由
歯医者のレントゲンがなぜ必要なのか。これには理由があります。
レントゲン検査を行うことで、口内疾患や口内環境が把握できるのです。
また、治療経過を正しく把握するのにも役立ちます。それぞれ解説します。
【歯医者のレントゲンが必要な理由①】口内疾患が発見できる
レントゲンを撮ることで、口内疾患の早期発見が可能です。
たとえば歯周病やむし歯の有無を調べる場合、口内の隅々をチェックする必要があります。
この場合、肉眼で口内の全ては把握できません。
一方で、レントゲンであれば骨の状態や被せもので隠れた箇所を把握しやすいため、口内疾患が見つけやすくなるのです。
また、口内疾患が見つけやすい理由はもう1つあります。
それは、むし歯に放射線を通しやすい性質がある点です。
むし歯の場合、写真では黒く写ります。
一方で、硬い歯や骨は白く写ります。
このように、それぞれの性質の違いにより、濃淡が生まれることで口内疾患が把握しやすくなるのです。
【歯医者のレントゲンが必要な理由②】治療効果が確認しやすい
レントゲンを撮ることで、歯の骨の状態が把握しやすくなります。
また、歯の根元部分を確認できるため、歯が割れたりしていないかを確認できるのです。
そのため、歯周病の進行状況や歯根部分の炎症などの有無が把握でき、治療効果が把握しやすくなります。
【歯医者のレントゲンが必要な理由③】口内環境が把握しやすい
レントゲンを撮ることで、歯ぐきで隠れた歯垢や歯石の有無も確認可能です。
また、親知らずの状態や歯の生え変わりなども確認できるため、口内環境が把握しやすくなります。
【歯医者のレントゲンが怖い方へ】検査方法には2種類がある
歯医者のレントゲンには、デンタルレントゲンとパノラマレントゲンの2種類があります。
それぞれ詳しく解説します。
【歯医者のレントゲンの種類①】デンタルレントゲン
デンタルレントゲンは、2〜3本の歯を1枚のフィルムに写す方法です。
これにより、周囲の骨の状態や歯根、むし歯状況などが把握できます。
検査費用は約150円前後です。
【歯医者のレントゲンの種類②】パノラマレントゲン
パノラマレントゲンは、顎を含めて歯の全体をフィルムに写す方法です。
顎関節や腫瘍、親知らずや歯の生え変わりなどを確認する際に活用されます。
検査費用は約1,200円前後です。
【歯医者のレントゲンの種類③】コーンビームCT
近年では、コーンビームCTも使用されるケースが多くなっています。
通常のレントゲン検査よりも被ばく量が少なく、精密な画像診断が可能な点が特徴です。
また、撮影時間が短い点も強みと言えるでしょう。
検査費用は約3,500円前後になります。
【歯医者のレントゲンが怖い方へ】検査時の注意事項について
歯医者のレントゲン検査を受ける際の注意事項を解説します。
検査を受ける前に、必ず把握しておきましょう。
【歯医者のレントゲンにおける注意事項①】妊婦の方、妊娠の可能性がある方は検査前に相談しましょう
レントゲンの放射線量は極めて微量です。また、検査中は防護服を着ることで対策ができます。
しかし、妊婦の方がレントゲン検査を受ける場合は注意が必要です。
日本産婦人科医会によると、胎児に影響を及ぼす放射線量は50ミリシーベルト以上とされています。歯医者のレントゲンで胎児に影響が出ることは理論上考えにくいですが、念の為、妊婦の方へのレントゲンを控えている歯科医院も多いです。
妊婦の方や妊娠の可能性がある方は、検査前の段階で歯科医師に相談しましょう。
【歯医者のレントゲンにおける注意事項②】装飾品は外しておきましょう
レントゲン検査の際、装飾品は外しておいた方が良いです。
なぜなら、装飾品を付けたままレントゲン検査を行った場合、写真に装飾品が移ってしまうからです。
ネックレスやピアス、イヤリングやヘアピンなどの装飾品がそのまま写真に移ると、診断に影響が出る場合があります。
レントゲン検査の前は、必ず装飾品を外しましょう。
また、装飾品を付けずに歯医者に来ることで、レントゲン検査がスムーズに行えます。
【歯医者のレントゲンにおける注意事項③】気分が悪くなったら申し出ましょう
レントゲン検査が安全であるとは言え、レントゲン検査が苦手な患者は一定数います。
中には閉所恐怖症で気分を悪くする方もいるでしょう。
レントゲン検査は、患者の許可無しに行う検査ではありません。どうしても検査が難しい場合はお気軽にお声掛けください。
まとめ
今回は、歯医者のレントゲンが怖い方に向けて、レントゲンの安全性や必要性、注意すべき点を解説しました。
レントゲン検査は怖いと思われがちです。
しかし、安心してください。
レントゲンの放射線量は極めて微量であり、人体に悪影響が出ることはありません。
レントゲン検査を行うことで、口内疾患や口内環境の把握がしやすくなります。
また、治療効果が確認しやすいというメリットがあるのです。
レントゲン検査を受ける際、恐れる必要はありません。スタッフの指示を守り、適切な方法で検査を行えば問題ないのです。
どうしても検査が苦手な方は事前に申し出ておきましょう。
記事執筆者
廣瀬哲人
株式会社ENロジカル代表
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
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記事監修者
歯科医師/岡本孝博
高知県の僻地出身
高校卒業後、アパレル業界へ。デザイナーを経験後、歯科医師になる。
2008年より、京都大学医学部附属病院に勤務。基幹病院病棟医長/外来医長、地域基幹病院歯科口腔外科の所属長、地域医療連携における部門部長、難治性外来非常勤医師を務める。また、研修指導医取得はじめ数々の認定医資格を取得
2018年に㈱スクリエを創業
共同記事監修者
管理栄養士/西岡愛梨
管理栄養士として大手医療法人の病院や介護老人保健施設に勤務しながら、大阪市立大学大学院へ進学。当時の研究テーマで日本病態栄養学会の若手研究特別賞を受賞した過去をもつ。現在は後期博士課程に在籍しながら、京都大学や地域中核病院での研究調査に携わっている。