「歯科健診が義務化されるってホント!?なんで義務化されるの?」
「歯科健診の義務化はいつから?自分の負担が増えたら嫌だなあ」
と思っていませんか?歯科健診が義務化されるかもしれないと噂されているのは、政府が「国民皆歯科健診」の検討を発表したことが原因です。
この記事を読むと、歯科健診の義務化、国民皆歯科健診についての詳細が分かるので、歯科健診が義務化されたときに向けての、必要な動きや費用負担といった疑問が解消されます。
今回は、そもそも歯科健診の義務化とは、歯科健診が義務化される理由、いつから義務化されるのか、と詳しく解説していきます。3分ほどで読み切れるので、ぜひ最後までご覧ください!
歯科健診が義務化される!?国民皆歯科健診って何?
歯科健診の義務化とは
2022年度の「骨太の方針」で、年代関係なく国民全員が定期的に歯科健診を受けることを目標とする、「国民皆歯科健診」制度の検討が発表されました。「骨太の方針」というのは、毎年政府が発表している経済財政運営に関する基本方針です。
1歳半児、3歳児の健診は市町村の義務、小学生から高校生の歯科健診は学校の義務です。しかし、大人の歯科健診は義務ではなく、日本歯科医師会の2020年の調査によれば、日本で歯科に通っている人は約44%(治療中10%、歯の定期チェックをうけている人34%)しかいません。
歯や口の健康は全身の健康にも重要であるため、国民皆歯科健診では、年代関係なく国民全員が定期的に歯科健診を受けることを目標としています。
歯科健診はなぜ義務化される?
義務化の目的は主に ①国民の健康寿命を延ばすため、②国の医療費削減のため、の2つです。
1つずつ詳しく解説していきます。
①国民の健康寿命を延ばすため
歯科健診が義務化される1つの理由は、国民の体を病気から守り、豊かな食生活を守るためです。
歯科健診によって歯の健康を守ることは、全身の健康を守ることにつながります。というのも、歯が少ないと咀嚼が困難になるため、食べられるものが限られてしまい、バランスよく栄養をとることができません。不健康な歯は生活習慣病の原因にもなるのです。
また、嚙む回数は記憶力、認知症と相関があるとの研究結果、かかりつけ歯科医院が無いことが認知症発症のリスクを増加させるという研究結果もでています。
さらに、国民の8割がかかっていると言われる歯周病も全身に悪影響を与えます。菌が血管内に侵入することで、脳卒中・心筋梗塞・認知症・骨粗鬆症・高血圧症・関節リウマチ・妊娠合併症などを悪化させる可能性があります。
日本は欧米に比べ歯科健診の受診率が低く、80歳時点の歯の平均本数も少なくなっています。
病気から体を守るためにも、豊かな食生活を守るためにも、定期的な歯科健診の受診が大事です。
②国の医療費削減のため
歯の本数が少ないほど全身の医療費が高くなるという研究結果があるように、歯の健康を保つことは全身の健康につながります。
超高齢化社会である日本では、近年医療費は増加する一方なので、国民皆歯科健診で歯の健康を守ることによって医療費を削減していきたい、という目的があるのです。
歯科健診の義務化はいつから?
義務化の始動は3年後の2025年が目標にされています。現時点ではまだ計画の全容は見えていませんが、ここから歯科健診の形態や費用負担がどのようになるのか注目ですね。
歯科健診の義務化にあたって、私たちがしないといけない内容は?
いきなり歯科健診が義務化されると言われても、自分がしなければならないことはあるのかと不安ですよね。ここでは、歯科健診の義務化にあたって、個々人に必要とされる準備を解説していきます。
結論、現時点で一般の人がしなければならないことは特にありません。なぜなら、歯科健診をどういう形でうけることになるかは未定だからです。
しかし、国民皆歯科健診の形態として、企業の健康診断に歯科健診が盛り込まれる可能性があります。そうなると、企業の責任者や健康診断の担当の方は、新たに歯科健診を社員に受けさせなければなりません。企業歯科健診の義務化の可能性に備えて、企業の方は国民皆歯科健診の制度の動向をチェックしておくべきでしょう。
義務化される歯科健診の費用はどのくらい?
歯科健診の義務化において、健診費用の負担がどのくらいになるのか気になる方も多いと思います。
一般の歯科検診の費用も踏まえつつ、国民皆歯科健診の費用について解説していきます。
歯科検診と歯科健診の違い
最初に歯科検診と歯科健診の違いについて、少しだけ解説します。
実は、ふつう歯医者さんで行われる定期検診が歯科「検」診であり、学校や企業で行われる集団での健診が歯科「健」診といわれています。
そして、今回義務化されるのは、歯科「検」診ではなく歯科「健」診になります。
歯科健診は歯の健康状態を確認するためのものであるのに対し、歯科検診は虫歯や歯周病などの疾病の早期発見・早期治療を目的としています。
歯科健診はお口の健康診断、歯科検診はお口の病気の診察・治療というイメージです。
一般的な歯科検診・歯科健診の保険適用について
- 歯科検診:基本的には保険が適用されます。(歯のクリーニングなどがセットになっていることが多くあります)
- 歯科健診:自費になります。
国民皆歯科健診では、費用の負担は個人?国?
国民皆歯科健診の健診費用を誰が負担するのかについて、まだ定かではありません。
「国民皆歯科健診実現PT」の方が「費用は基本的に国が負担していくようにする」と発言したというニュース(出典:withnews)もありましたが、まだまだ途中のプロジェクトのため、変更される可能性は大いにあります。費用負担も含めて検討中というところでしょう。
もし、費用が企業負担となった場合は、既存の企業歯科健診などでの値段である一人当たり3000〜5000円ほどが目安になりそうです。一部の費用は個人が負担する可能性もありますが、ほとんどの費用は国もしくは企業が負担することになると思われます。
まとめ
今回の記事では、歯科健診が義務化される概要について書きました。
歯科健診の義務化とは「国民皆歯科健診」によって、年代関係なく、国民全員が定期的に歯科健診を受けられるようになること
検討開始の理由は
- 国民の歯の健康・全身の健康を守るため
- 国の医療費削減のため
- 2025年からの開始が目標
- 企業の方は国民皆歯科健診の動向を確認するようにすべき
- 費用負担は未定。国または企業になる可能性が高い
まだ不透明なところが多い国民皆歯科健診。
しかし、義務化されると私たちの生活の一部になる可能性が高いので、今後に要注目ですね!
記事執筆者
廣瀬哲人
株式会社ENロジカル代表
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
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記事監修者
歯科医師/岡本孝博
高知県の僻地出身
高校卒業後、アパレル業界へ。デザイナーを経験後、歯科医師になる。
2008年より、京都大学医学部附属病院に勤務。基幹病院病棟医長/外来医長、地域基幹病院歯科口腔外科の所属長、地域医療連携における部門部長、難治性外来非常勤医師を務める。また、研修指導医取得はじめ数々の認定医資格を取得
2018年に㈱スクリエを創業
共同記事監修者
管理栄養士/西岡愛梨
管理栄養士として大手医療法人の病院や介護老人保健施設に勤務しながら、大阪市立大学大学院へ進学。当時の研究テーマで日本病態栄養学会の若手研究特別賞を受賞した過去をもつ。現在は後期博士課程に在籍しながら、京都大学や地域中核病院での研究調査に携わっている。