「最近、喉は乾いていないのに口が渇くことが多い…」
このように感じる方がいらっしゃるかもしれません。
口が渇く状態を放置すると、様々なリスクがあります。
そこで今回は、口が渇く原因や放置した時のリスク、その対処法について解説します。
口が渇く原因や対処法について知りたい方は、本記事を参考にしてみてください。
口が渇くとどうなる?
口が渇くと陥る主な症状は次の通りです。
- 舌がヒリヒリする
- 口臭がする
- 口の中がネバネバする
- 夜中に喉が乾いて目覚める
口が渇く原因は?
口が渇く原因はさまざまです。
病気や生活スタイル、服用している薬などに起因することもあります。
それぞれ詳しく解説します。
【口が渇く原因①】病気
次の病気にかかると、口が渇く原因になります。
- 糖尿病
- シェーグレン症候群(涙腺や唾液腺に炎症が起こる疾患)
- 貧血
口の渇きが顕著な場合は、これらの病気を疑いましょう。
【口が渇く原因②】ストレス
唾液は副交感神経が優位になることで分泌されやすくなります。一方でストレスがかかると、交感神経が優位になるため唾液が分泌されにくくなり、口が渇きます。
【口が渇く原因③】薬の副作用
アレルギー体質や花粉症の方が使用する抗ヒスタミン薬の副作用で、口が渇くことがあります。
さまざまな分泌腺に影響が出ることがあり、唾液の分泌が減ってしまう可能性があるのです。その他には、筋弛緩薬や利尿薬、精神安定剤なども唾液の分泌を減らす原因になる可能性があります。
【口が渇く原因④】口呼吸
口呼吸を行うと口が開いた状態が長くなり、口が渇く原因になります。
【口が渇く原因⑤】加齢
加齢が進むと、口周りの筋力が低下して唾液腺が刺激されにくくなります。
唾液腺が刺激されなくなると、唾液の分泌が減少して口が渇く原因になるでしょう。
【口が渇く原因⑥】脱水状態になる
次のものを過剰摂取すると、利尿作用が促進されます。
- カフェイン
- アルコール
利尿作用によって脱水状態になると、唾液の分泌低下を招き、口が渇く原因になります。
口が渇く状態を放置するとどうなる?
口が渇く状態を放置するとどんなリスクがあるでしょうか。
放置することで起こりうるリスクについて解説します。
【リスク①】虫歯・歯周病
唾液量が減ると口が渇くため、唾液の殺菌作用が期待できなくなります。
そのため、口内に虫歯菌や歯周病菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病にかかるリスクが増えます。
【リスク②】口臭
口が渇くと、口内に汚れや細菌が溜まりやすくなります。
たまった汚れや細菌は、時間が経つと硫化物やアンモニアの臭気ガスを放つため、口臭の原因になるのです。
【リスク③】味覚障害
味覚は、舌にある味蕾(みらい)に水分が届くことで感じられます。
口が乾くと、水分が味蕾に行き渡りにくくなります。また舌が乾燥することで、食事の際に舌が擦れて味蕾が傷つき、味覚の感知機能が低下する可能性があるでしょう。
その結果、味覚障害になるリスクが増えるのです。
【リスク④】誤嚥
食べ物は噛むことで唾液と混ざり合ってまとめられ、飲み込みやすくなります。
唾液が不足して、食べ物がバラバラの状態で飲み込まれると、誤って気管に入ってしまう恐れがあります。このとき細菌が一緒に入り込むと、誤嚥性肺炎が起こる原因にもなるため注意が必要です。
唾液量が減ると口が渇くため、食事の際に食べ物が胃にスムーズにいきにくくなり、誤嚥のリスクが高まります。誤嚥により、肺に食べ物と細菌が一緒に入ってしまうことで誤嚥性肺炎が起こりえます。
口が渇く時の対処法
口が渇く時の対処法を解説します。
いずれも自宅で簡単にできる内容です。
口が渇く方はぜひ実践してください。
【口が渇く時の対処法①】保湿剤を使用する
保湿剤を使用することで口の乾きに対処できます。また保湿ジェルや洗口液、保湿スプレーなども効果が期待できるでしょう。
【口が渇く時の対処法②】唾液分泌促進薬を飲む
唾液分泌促進薬を飲むことで、唾液腺が刺激され、唾液量が増えます。
主な薬は次の通りです。
- ピロカルピン塩酸塩
- セビメリン塩酸塩水和物
- エボザック
【口が渇く時の対処法③】ストレスを減らす
ストレスを適度に発散することで、自律神経のバランスが整い、唾液量が安定しやすくなります。ストレスの発散方法は人それぞれですが、例えば次のような方法があります。
- 散歩
- ジョギング
- 入浴
- マッサージ
- 旅行
- 買い物
- 友人や家族と会話する
自分なりのストレス発散方法を見つけ、ストレスを減らす努力をしましょう。
【口が渇く時の対処法④】よく噛んで食べる
食事の際によく噛んで食べることで、耳の下や舌の下、顎の下にある唾液腺が刺激され、唾液の分泌量が増えます。食事の際は、一口あたり30回程度噛んで食べるといいでしょう。
【口が渇く時の対処法⑤】唾液が出やすい食べ物を食べる
たとえば梅干しやレモンなどは酸味が強く唾液が出やすいいです。酸味は身体が「毒」と判断するため、毒性を弱めるため唾液が出やすくなります。またドライフルーツやするめなど硬い食べ物を食べたり、ガムを噛むのも効果的です。
ガムを噛む際は糖分が少なめのものを選ぶといいでしょう。
納豆や昆布は唾液の分泌を促進する成分が含まれています(昆布はアルギン酸、納豆はポリグルタミン酸)。積極的に食事に取り入れるといいでしょう。
【口が渇く時の対処法⑥】水分補給する
口が乾くと口内細菌が繁殖しやすくなり、トラブルに発展するケースがあります。
そのため、水分補給をこまめに行うといいでしょう。脱水症状を防ぐためにも効果的です。
成人の場合、1日当たり約2.5Lの水分を摂取する必要があります。
食べ物に含まれる水分などを除くと、水分補給としては約1.5Lの水を飲むべきとされています。ただし、カフェインを含む飲料(コーヒー、紅茶、緑茶など)の過剰摂取やアルコールの多飲は、利尿作用によって水分が排出されてしまうので注意しましょう。
【口が渇く時の対処法⑦】舌を回す
上下の歯茎の根元を舌で舐めるように回すことで、耳の下や舌の下、顎の下にある唾液腺が刺激されて唾液が分泌されます。口が渇く時に実践できる対処法として最も簡単な方法です。
【口が渇く時の対処法⑧】唾液腺をマッサージする
唾液は次の3つの線から出ます。
- 耳下腺
- 顎下腺
- 舌下線
それぞれ耳の下や顎の下、舌の下を指でマッサージすることで、唾液が出やすくなります。
ぜひ実践してみてください。
まとめ
今回は、口が渇く原因や対処法について解説しました。
口が渇く原因は次の通りです。
- 病気
- ストレス
- 薬の副作用
- 口呼吸
- 加齢
- 脱水状態になる
また口が渇く状態を放置すると、次のリスクが発生する場合があります。
- 虫歯・歯周病
- 口臭
- 味覚障害
- 誤嚥性肺炎
上記を予防するためにも、口が乾く方は次の対処法を行ってください。
- 保湿剤を使用する
- 唾液分泌促進薬を飲む
- ストレスを減らす
- よく噛んで食べる
- 唾液が出やすい食べ物を食べる
- 水分補給する
- 舌を回す
- 唾液腺をマッサージする
頻繁に口が乾く方はぜひ実践していただき、口内環境を清潔に保つようにしましょう。
記事執筆者
廣瀬哲人
株式会社ENロジカル代表
京都大学医学部医学研究科在学中に脳神経の形成機構の研究に従事。
在学中に起業し、事業売却を経験。
自身もwebのディレクターとして従事し、経営する会社ではいくつものwebメディアを運営している。
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記事監修者
歯科医師/岡本孝博
高知県の僻地出身
高校卒業後、アパレル業界へ。デザイナーを経験後、歯科医師になる。
2008年より、京都大学医学部附属病院に勤務。基幹病院病棟医長/外来医長、地域基幹病院歯科口腔外科の所属長、地域医療連携における部門部長、難治性外来非常勤医師を務める。また、研修指導医取得はじめ数々の認定医資格を取得
2018年に㈱スクリエを創業